ハリウッド・ムービー・ログ No.35
by 横山智佐子

本日いよいよ大統領選挙です。新大統領就任とともに景気も回復してくれないかと皆が期待していますが、それにはまだまだ時間がかかるでしょうね。映画業界でも撮影をしている映画が最近本当に少いので不安を感じます。この業界ではストライキや不況の影響も、製作過程の順に広がります。まずは撮影隊、そして編集室へと打撃が浸透して行くのです。撮影が少ない事すなわち、半年後、1年後の編集室での仕事が少なくなるということなのです。
そんな不景気の中、現在仕事についている自分を非常に幸運だと思わざるを得ません。実は昨日、今やっている映画のオーディエンスプレビュー(テスト試写)が行われ、その準備の為にここ数週間毎日忙しい日々を送ってきました。大きい試写としては3度目なのですが、どうもハイスコアーが獲得できません。最後に10名ほど集めて行うフォーカスグループのリアクションは、どの回も非常に良く、参加する人々みんな非常に作品を気に入った様子なのに。。。
なぜスコアーが伸びないのか?私が思うに、これは作品が非常にユニークで型破りなものだからでしょう。「ヘーこんなの見たこと無いね。おもしろい。」と思う人と「エー何これ。ついて行けない。」と思う人の両極端に別れてしまうのではないでしょうか。でもこれって、決して悪いことではないと思います。私の過去の経験では、何年も前に見たけれども今も憶えている様な強烈な印象を与える作品は、よくこういった両極端な反響を受けています。
ところがスタジオ側はあくまでも大衆の大多数が「好きです」と言ってくれることを要求します。そしてその裏付けがテスト試写でのスコアーなのです。スコアーがそこそこあれば、あっさりと編集も終了するのですが、低いと何事にも決断を欠くようです。この作品かなり予算オーバーで、終了するにはそれなりの予算が必要なのですが、これをスタジオが出し渋る。その理由はテスト試写のスコアーが伸び悩んでいるからなのです。
ではスコアーが良ければ必ずボックスオフィスで成功するかと言えばそうでないこともあるはず。鳴かず飛ばずの作品もたくさんあるはずです。それでもこの点数に頼らずにはいられないスタジオ。巨額の資金が動き、失敗すればその損害も大きいわけですから、それももっともなことなのかもしれません。スコアーが良ければ、失敗してもスコアーのせいに出来ますが、その逆だと責任を大いに問われることになるのでしょうね。まあプロデューサーたちの気持ちも分からなくもありません。
ということで本日はスタジオヘッドや各プロデューサー10数名を相手に、監督が映画の今後についてミーティングを行います。映画は初めての若い監督さんですが、このお偉方とのミーティングにかなりプレッシャーを感じているよう。まさにこれがハリウッド映画制作の最大の難関だといつも、つくづく思います。ロックピクチャー、そして映画を完成させることに、プロデューサー達のオッケーがもらえるよう、編集室一同ただひたすら願うばかりです。

| - | 08:39 | comments(2) | trackbacks(0) | ↑TOP
ムービーアド Vol. 04  by 淀野菜美子
皆さん今日は。今回は映画の予告編についてお話ししたいと思います。皆さんは映画館に行った時、本編の始まる直前に流れる予告編を見て次回見る映画を決めた事はありませんか? 印刷媒体やネット上の映画情報サイトなどで興味のある映画を見つける方もたくさんいらっしゃると思いますが、映画館・テレビ・ネット上での予告編はやはりインパクトのある宣伝媒体として昔から注目を置かれています。

予告編の事をこちらではトレーラーと言います。ほとんどのトレーラーは劇場公開の約3ヶ月前からリリースされます。インハウス(配給会社もしくわプロダクション会社内)で編集されるトレーラーも多いですが、トレーラーハウスと呼ばれるトレーラー編集を専門で行う会社に外注される事も少なくありません。トレーラーには劇場公開まで公開されるティーザーと劇場公開後のシアトリカル、テレビ用にも15秒・30秒など放映時間で様々なバージョンがあります。

予告編で放映される内容は製作側、配給会社側からの制限がたくさんあります。内容をほとんど見せないものから、ほぼ結末の一部まで見せてしまっているものもあります。俳優などが有名スターである場合、その名前がトレーラーに出てくるだけで見込み客を増やす可能性は高いです。そういう場合、トレーラーは内容を見せるよりは、主役がどんな事をする映画なのかを伝える方が重視される傾向にあります。出演者が売り出し中な場合やコンセプトが人々に対するアピールポイントである場合は、よりストーリーの面白さに重心を置きますが、見せられる部分が少ない事がよくあります。

皆さんは、「予告編は面白かったのに、本編はそうでもなかったなあ」と思われた経験は無いでしょうか?トレーラーに含まれる内容はありすぎてもなさすぎてもいけません。限られた短い時間の中で、どれだけ興味を持ってもらうかというのは確かに需要なのですが、おいしいポイントだけを抜き出してトレーラーを作ってしまうと本編に含まれるほとんどの面白みを見せてしまいます。さじ加減が大事ですね。私の働いていた会社ではトレーラー編集が上手な人の事を「マジシャン」と呼んでいました。まさにその通りだなと思いました。

トレーラーを編集するときにもコンセプトが必要です。製作側、配給会社側からの制限も含めてマーケティング戦略をもとにそのコンセプトも練られます。しかし色んな相互作用があるのが映画の広告です。トレーラーのコンセプトを元に他の広告のコンセプトを作られる事もありますし、その逆もまた然りなのです。

私はよくアップルのサイトで近日公開予定や過去の映画のトレーラーをチェックします。(http://www.apple.com/trailers/)
皆さんも、機会がありましたら次に予告編を観たらどんなコンセプトが隠されているのか、俳優を押し出しているのか、それとも内容が大事に見せているのか、予告編と本編の内容の違いについて気をつけて観てみてください。

| - | 08:33 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
マック近藤の「ムービー・イン・アメリカ・ナウ」
弟2回

 こんにちはマックです。今回は、実は今年の春先にAudience Previewで見るはずだった映画を紹介します。見るはずだったというのはISMPの皆で会場まで行ったのですが、満席で足切りとなってしまい、やむをえず別の作品を見たのです。それで今回やっと劇場公開され、見ることにしたのです。タイトルは「Body of Lies」。何故か邦題は「ワールド・オブ・ライズ」で、リドリー・スコット監督、ラッセル・クロウ、レオナード・ディカプリオ主演のアクション映画です。

 街角の看板では単にアメリカン・ギャングスター、ブラックホークタウンの監督としか書かれておらず、ディカプリオもクロウも名前だけ。内容はほとんどわからず、ビッグネームだけで十分という感じなのはさすがです。看板の印象ではサスペンスっぽいのですが、内容はほとんどアクションです。爆破シーンや戦闘シーンは凄い迫力だし、主演のディカプリオはCIAのエージェントなのですが、衛星からいつも監視されており、その様子がフロリダ(?)のCIAオフィスの画面上で大写しで映しだされているシーンは圧巻です。(本当にこんなこと可能?)

 舞台も中東からオランダ、そしてトルコへと移り、見ごたえがあります。しかしながら肝心のディカプリオ演じる主人公はひどい目に会いながらもどこかコミカルで、苦悩等の人間性があまり表れていません。内面の表現が足りない感じがするところが残念でした。グラディエーターでもそうでしたが、リドーさんは迫力ある素晴らしい画を撮るのですが、今ひとつ人間性や女性を演出するのがうまくない気がします。むしろ怪しいヨルダン人を演じたマーク・ストロングの演技が素晴らしいですね。ストロングは、もう役になりきっています。歩く演技から違います。

 ストーリー的には原作を読んでいないので何とも言えないのですが、やはり誰も信じることが出来ない孤独なCIAエージェントの苦悩が主題のような気がするので、そこがちょっと物足りません。でも映画としては迫力満点。ディカプリオも非常に頑張っているので、見る価値があると思います。日本では来年1月に公開らしいので、リドリーさんらしい映画としてご覧になってください。

 ついでに、前回書いたようなスポーツ実話物がまた1本公開になっています。題名は「The Express」と言います。これは黒人初のハインズマン・トロフィー(大学アメフトのMVP)を取りながら、若くして白血病で亡くなった人物の伝記です。こちらは重厚な作りで非常に良い映画でした。私同様、スポーツ好きの方には見逃せない1作です。機会があれば見てください。それではまた。

| - | 08:17 | comments(1) | trackbacks(0) | ↑TOP
スチューデント日誌
第15回 中島 直樹

どうも皆さん、第四期生の中嶋直樹です。
9月にトーランスにあるジョージ•ナカノシアターでディレクターズコースの生徒と僕ら四期生の作品が公開されました。会場には百人近くの方々が来てくれて本当嬉しい限りです。僕にとって自分の作品が公開されるという事は、もちろん初めてだったので想像出来ないほどの緊張に襲われました(笑)ブーイングでもあったら、スターバックスに行って地味に落ち込もうとか考えてましたが、そんなこともなくスムーズに終わったので安心しました。映画を人々に見せる、という事はもの凄い責任を感じます。ハリウッドの映画が世界中に受け入れられているのは、大衆に見せる責任を知り尽くているからでしょう。

卒業して一ヶ月以上が経ち、振り返ってみて、なんとゆうかあっと言う間に終わってしまった感じです。ISMPの勉強期間(初級、上級)は六ヶ月ですが、それ以上の事を叩き込まれた気がします。僕は基本的にかなり、いや超マイペースな人間なので、詰め込まされると投げ出してしまう恐れが最初にあったのですが、授業が楽しくてしょうがなかった。どの先生方も独特のユーモアをお持ちになっているので、日本のガチガチに固い授業などではなく、すんなり頭に入ってきて、とてもわかりやすかったです。やはり勉学というのは、楽しさプラス揺るがない興味がないとね。特に実際の撮影などでは自分の作品を撮る前に第二プロジェクトとして「JACK&JANE」という短編作品を撮るのですが、そのプロジェクトは本当に意義のある撮影でした。もちろん分からない事ばかりで僕はミスだらけだったのですが、卒業生や先生がスタッフとして参加してくれたので周りの動きを学ぶ事が出来ました。六ヶ月という短い期間でもカリュキュラムや指導の順序がバランス良く作られているので、これからISMPに入ろうとしている方も安心して勉強できるかと思います。

さて、僕はこれから日本に帰国しますが、やっていきたい事が二つ。一つは当たり前ですが映画を撮り続けるという事。確実に監督になれる方法とは存在しないと思うので、学校の先生も言っておられましたが、コンスタントに撮るとう事が大事らしいです。二つ目は日本の地方の映画制作の盛り上げに関わっていきたいです。現在日本の地方にはフィルムコミッションが多数設立されていて、 誘致活動やそこから生じる街の知名度の向上、集客力、地域経済の活性化などを狙っています。ですが、フィルムコミッション自体に映画製作する力はほとんどない状況です。僕は少なからず地方であったとしても映画を自分達自身で作る環境があれば良いなと思っています。誘致活動のように外から中に呼び込むのではなく、内側から発信できる、そういった団体があればいいなと。そんな団体が作れるかは分かりませんが、福島県会津若松、田舎生まれの僕は、いつか地元で撮った作品が公開されればいいなと夢を描いているしだいです。


筆者プロフィール
Naoki Nakajima: 第4期卒業生 福島県出身 21歳
好きな監督:Jim Jarmusch, Woody Allen, Stanley Kubrick, Gus Van Sant, Alexander Payne, David lynch 、塚本晋也、山下敦弘, 小津安二郎、フランソワ・トリュフォー
好きな映画:「Stranger than paradise」「Taxi driver」「Baghdad cafe」「American history X」「Sex,Lies,and Videotape」「Do the Right Thing」「Sideway」「Midnight Cowboy」「六月の蛇」「東京物語」「リアリズムの宿」「トニー滝谷」「男と女」「大人はわかってくれない」
将来の目標:監督
| - | 07:48 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
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